【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第166章 ◇第百六十五話◇変わらない想い【運命の決戦編】
彼らのことをすっかり本当の親子だと思っている新兵達の勘違いを訂正する気もなく、ハンジが書類を見ていると新兵のひとりに声をかけられた。
「ハンジ分隊長、リヴァイ兵長は何処に行ってるか知ってますか?
午後から壁外調査なのに、何処にもいなくて…。」
新兵は、心底困ったように眉尻を下げた。
ここ最近のリヴァイは、壁外調査前の会議でストヘス区へ行くことも多かったし、帰ってくればの実家に戻っていたので、全然会えなかったのだろう。
「ベタ惚れの奥さんに会いに行ってるんだよ。」
ハンジは書類から顔を上げて、ここにはいない友人をからかう口調で答えた。
「えッ!奥さんにですか!?」
「ハンジさん、奥さん、見たことあるんすか!?」
「どんな人?!美人!?」
「やっぱ強ぇの!?」
さっきまでの巨人談議ではつまらなそうに眠りかけていた新兵達の目が、キラキラと輝く。
壁外調査前の大事な時に、巨人の話よりも兵士長の奥さんの話の方が大事だなんてー。
1年前と比べて驚くほどに平和な調査兵達の姿に、ハンジはを重ねていた。
もう少し早くこんな日が来れば、命を削るほどの不安を感じることもなく、リヴァイの隣で無邪気に笑っている彼女を見られたのかもしれない。