【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第163章 ◇第百六十二話◇また逢いましょう【運命の決戦編】
獣の巨人のうなじから引きずり出した人間の両手足を切り落としたリヴァイは、口の中に超硬質スチールの刃を刺した。
巨人化直後、身体を激しく損傷して回復に手一杯なうちは巨人化出来ない。
とりあえずは、作戦通りだー。
「リヴァイ兵長!四足歩行の巨人の中の人間も捕らえました!!」
やってきたのはエルドだった。
オルオが縄で拘束してくれているそうだ。
獣の巨人の中身はエルドに拘束するように指示を出したリヴァイは、獣の巨人の身体から飛び降りて、地面に横たわるの元へ走った。
「…!しっかりして…!」
のそばにはすでにペトラがいて、彼女の身体を腕の中に抱いて、必死に声をかけているようだった。
「…!」
リヴァイが叫ぶように名前を呼べば、顔を上げたのはペトラだった。
その腕の中にいるは真っ白い顔で、閉じてしまった目は開きそうにない。
腕を失った右肩からは大量の血が流れ続けていた。
「リヴァイ兵長…!、まだ生きてます!!
返事はないけど、でも、ちゃんと心臓が動いてる!!あの注射を打ってください…!!!」
「…貸せっ!」
ペトラから奪うように、でも、をこれ以上傷つけないように優しく包むように、リヴァイは自分の腕で抱きしめた。
温かい、まだ、温かいー。
「リヴァイ兵長、早く!あの注射を!!」
「悪い…、アレは打たねぇ…っ。」
「…!?なんでっ!?」
「との、約束だ…!」
「そんな…っ。」
ペトラは驚愕と悲愴を重ね合わせたみたいな真っ青な顔で、絶望していた。
それを視界の端にとらえていても、リヴァイはただただを腕の中に抱きしめ続けた。
ゆっくりと、命の火を消していこうとしている愛おしい人ー。
彼女を救う手立てを、自分が持っていることは理解していた。
そして、それを使うことを、彼女が良しとしていなかったことにも気づいていた。