第4章 メリークリスマス
剛士くん。
テレビに映る彼の瞳に魅入る。
やっとあの赤が見れた。
早くその瞳に見つめられたい……
午前2時、ライブが終わった。
ずっと寝ていたからか、全く眠くないわたしは、ただ剛士くんを待った。
両親は、明日剛士くんに挨拶に来ると言って、病院の近くに取ったというホテルに帰っていった。
このライブ、どこでやってるんだろう。幕張とかかな。
いまはただ、剛士くんに会いたい。
この点滴を引き抜いて、駆け出したい。
何日も眠っていたから、立てるかどうかもわからないけど。
午前3時、車の音がしたと思ったら、すぐに剛士くんがやってきた。
剛士くんは、お化粧したままだ。汗もかいてる。ライブ終わって、着替えて、すぐ飛ばしてきてくれたんだ。
「っゆかり……!!」
酸素チューブ入れて、点滴してるから動けないし、ギュッてできないけど。わたしの手に剛士くんの額を着けて、肩を震わせ泣いていた。
「剛士くん…泣いてるの…?」
わたしまで、涙が出てきた。剛士くん…剛士くん…ずっと会いたかった。ずっと探してた。その燃える瞳…
「剛士くん…お顔見せて。」
剛士くんが、涙をそのままに顔を上げる。
剛士くんに支えてもらって身体を起こし、向かい合った剛士くんの頬を両手で挟んで、額に、瞼に、唇に、触れるだけのキスをした。
「ゆかり…愛してる。生きててくれて、ありがとう…」
「剛士くん。ありがとう…」
深夜3時の静かな病室で、優しくハグをした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈