第4章 メリークリスマス
七草粥のころ、わたしはやっと退院が決まった。
当日は剛士くんが車で迎えにきてくれて、まっすぐ家に帰った。
身体を支えられ、談笑しながら、駐車場から出てきたところをめちゃくちゃフラッシュが襲った。
家の前で、記者陣に囲まれた。
「クソっ…しくじったな…ゆかり、ごめん。」
「わたしは、大丈夫。どうしたらいいの?」
「どーしたもこーしたもあるか。俺は嘘はつかねえ。逃げたりしねー。」
『金城さん!その女性とは付き合っているんですか?』
『結婚の予定はー?』
『前の写真の女性と同一人物ですか?』
『妊娠されてますか?』
『金城さん!ファンの皆さんに一言ください!』
「俺は、遠藤 ゆかりと付き合ってる。春に結婚する」
「後にも先にもこいつしか愛さねえ。ファンの期待はこれからも絶対裏切らねえ。以上だ。」
「ちょっ!ちょっとお!剛士!何言ってるの〜!!みなさーん!これは公式の会見ではありませんからね。公共放送やネットに上げることは事務所が許可しませんからね!!」
騒ぎを聞き付けてかけつけた夜叉丸さんがフォローしてくれて、なんとか収まってわたしたちはマンションへ帰れた。わたしは部屋に帰ったけど、剛士くんがまた〆られたのは言うまでもない。今回は社長にもため息吐かれたそうです。
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「ゆかり。さっきはごめんな。体調どうだ。」
「もう平気だよ。たくさんリハビリしたから、元気だよ!」
「そーか。病み上がりなんだから、大人しくしてろよ。」
「剛士くんは、心配屋さんだね。」
「お前のこと、大切なんだよ。」
そう言って抱き締められた。
手には小さな箱。ん?箱?
「これ……」
「本当は、イヴの夜に渡すつもりだったんだ。1ヶ月遅れちまったけど……」
「Please marry me」
「……」
ソファに腰掛けている私の前に膝まづいて、その箱を開ける剛士くん。中には輝く赤いルビー。剛士くんの瞳の色。
「はい。不束者ですが、よろしくお願いします。」
わたしは王子様にお辞儀をした。
そうしたら優しく抱き上げられて、甘いキス。
「愛してる。ゆかり。」
「剛士くん。愛してる。」
END
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