第3章 印
ロビーのカフェでコーヒーを頼んでいたら、双子に挟まれていた。
「ゆかり、久しぶり!今日もいいおしり〜♪」
「ゆかりさんの香り、10年振り…」
いつの間にかスカートの中に手を入れられてる。
唯月くんの鼻は胸の谷間に挟まってる。
ふたりともエスカレートしすぎ!!
「遙日くん!唯月くん!やめなさい!」
随分大きくなった遙日くんに覗き込まれる。
「あれ?ゆかり、ちっちゃくなったね。てか、俺の方が年上?」
同じく背の高い唯月くんにぐっと腰を密着させられる。
「ゆかりさんが年下…ちょっといいかも。」
「は、離して〜っ!!」
「くぉら!」
「いでっ!!」
「うぅ。」
剛士くんのゲンコツが2人の頭に炸裂したらしい。
「剛士くん、ひどい…」
「酷くねえ。唯月。ゆかりを離せ今すぐ」
「え〜いつお下がりしてくれるんですか〜?」
「絶対しねえ。遙日お前ツラ貸せおら」
「ひぇ〜すんませーん!」
剛士くんが助けてくれなきゃ貞操が危うい…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
今日 はクリスマスイヴ。
街を歩くとあの宝珠の気配がして、自分でもなんでこんなことがわかるのか混乱しながら、気配を追った。
「あの男…」
「警察官に偽装して逃げた男だね。」
背後から声が聞こえて、はっと振り返ると、後ろには倫毘沙くん。
「倫毘沙くん。どうしてここに…?」
「剛士から頼まれてね。北門財閥の方で少し調査していたんだ。ゆかりこそ、こんなところに1人でどうしたの。危ないよ。」
王子スマイルを浮かべながら手を取って話す倫毘沙くん。
うん、変わらないな…
「あれを取り戻さないといけないの」
倫毘沙くんの手を両手で包み込んで、目で訴える。
倫毘沙くんはびっくりした表情をうかべたあと、ふんわり微笑んだ。
「わかった。ゆかりのために、取り戻してみせるよ」
倫毘沙くんが、無線で一言何かをつぶやくと、全身防弾スーツのようなものを着たガードマンたちが男たちをあっという間にのした。
倫毘沙くんがかつかつとその場に近づき、宝珠を手に取った。
「これかな?」
倫毘沙くんから手渡された宝珠は虹色に輝き、そして割れた。
「あっ!」
破片が胸に刺さったと思うと、解けて消えた。