第2章 瞳
「お前。他人の家でなにしてんだ。」
「か、金城さ……」
こんな姿。最低だ。涙が止まらない。
「やっと帰ってきたな。愛する女がほかの男に股開いてる姿はどうだ。トップアイドルの金城剛士さんよぉ。」
「ゆかりはそんなことしねえ。」
「殺す!!」
言い合いの果てに私に向けていた刃物を金城さんに向けて走り出した結城くん。
「やめて…!!」
金城さんは手刀でナイフを落とした後、突っ込んできた結城くんの腕をとり、首後ろをトンっと叩いた。
「ぐぇ…」
結城くんは床に倒れ、気絶した。
「ゆかり、ちょっと待ってろ。こいつ縛ってからそっち行く。」
わたしはただ頷くことしか出来なかった。
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私にタオルケットをかけた後、手錠を外し、結城くんに着けていた。
「怪我はないか。痛むところはないか。」
金城さんに嫌われた。最低な姿を見られた。わたしのせいで…
絶望でいっぱいで、気持ちもモノクロだった。
その時、警察が来て、結城くんを連れていく所だった。
なんと結城くんは、手に持っていた宝珠を警察官の1人に手渡し、その1人が逃げ出した。
「お、追えーーっ」
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シャワーを浴びて、まだ熱い身体の奥に知らないフリをした。
何時になったら抜けるんだろう。
このモノクロの瞳で、金城さんのあの燃える赤が見られなくなるのが悲しい。
お風呂から上がると、金城さんに抱き締められた。
「まだ熱いんだろ。来い。」
ベッドで身体を暴かれて、愛しそうに愛撫される。
金城さんの手や舌は、ゾクゾクするほど気持ちよかった。
何が違うんだろう。
「あっ。んんっ。」
「我慢しなくていい。」
右手で口を覆っていると、外されて深いキスが落ちてきた。
「ん。……ふぁ…ぁっ、」
「ゆかり……愛してる…」
私を?
なんで……会って数日なのに……
あ、燃える赤い瞳。見えないはずなのになんで。
わたしは、ずっと前から、この瞳に惹かれているーーー
「ご…う…し…くん。」
「ゆかり、記憶が…」
「剛士くん。愛してる…」
「あぁ…ゆかり…」
記憶を取り戻した私たちは、ベッドに深く沈んでいった。