【金城剛士】超感でぃすてにー【B-project】
第3章 秋
次の日。健十くんとショッピングにでかけた。
健十くんは車を持っていて、助手席に乗せてもらった。
そういえば、男の人が運転する車の助手席に乗るのって、プライベートでは初めて。なんだかデートっぽい。
ソワソワしていると、健十くんが運転しながらからかってきた。
「なに。やっと意識してくれたの?」
「ち、違うよ。今日は寮母担当で、健十くんの荷物持ち。」
「ふーん。ま、そーいうことにしといてあげる。」
高級そうなショッピングモールに到着して、エスコートされる。
今日わたし、荷物持ちなのに……
映画を見て、ご飯を食べて、なぜかわたしのレインブーツを買ってくれた。
「健十くんの用事って一体なんだったの?」
秋は日が短い。すっかり暗くなった帰り道、率直に聞いてみた。すると、公園横に車を停める健十くん。マンションまではまだ先だ。
「ん?それはね……」
顔を近づけ、耳元で囁かれる。
「可愛い小鹿ちゃんを食べることかな。」
言うや否や、私の頭を引き寄せ深く口付けられる。
何度も何度も角度を変え、吐息が漏れる。
「んっ……ふ……あっ……」
歯列をなぞられ変な声が出た。
こんなとこ見られたらクビになる。
「やめ……けん……とっ」
「やめない」
気づけば胸を揉みしだかれ、身体の奥がキュンとしてる。手脚に力が入らない。このままじゃ……
ピルルルル。
わたしの携帯の着信。助かった。
「はぁ…萎えた」
健十くんの言葉は無視して、車から降りて電話に出る。
電話の主は夜叉丸さんからで、ヒヤリとした。
「はい!ありがとうございます。よろしくお願いします。」
半年間の試用期間が終わったから正規社員として雇ってもらえることになった。よかった。
「今日はありがとう。ごめん、歩いて帰る。」
そう言って健十くんと別れて、公園のベンチで泣いた。