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【金城剛士】超感でぃすてにー【B-project】

第3章 秋


その日からぼーっと憂うことが増えて、みんなに心配された。
思い浮かぶのは健十くんの大きい手と、剛士くんの燃える赤の瞳。
仕事中も思い出しては、ぶんぶんと頭を振って忘れる。そんなくりかえし。

たまたま宅配ボックスのチェックをしていて、上から荷物が落ちてきた時に気が付かなかったら、悠太くんが助けてくれた。

「もしかして、ケンケンかごうちんにいじわるされてるの?」

的を得た質問にグサッとなる。多分、顔に出てたと思う。
悠太くんは荷物を置いて、わたしを正面から抱きしめた。

「言いたくなかったらいいけど、辛い時は僕に言うんだよ。」

女子の中で背の高いわたしをすっぽり包んでしまえる悠太くんの体と心の大きさに涙が込み上げてきて、少し泣いた。

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ぼーっと日々を過ごしていたら、あっという間に剛士くんとの約束の日になった。こんな気持ちじゃ楽しめない。しっかり気持ちを切り替えて、今日は大好きなバンドのことだけ考えよう。そう心に決めて気合を入れておめかしした。

「雨……」

健十くんに貰ったレインブーツが、お気に入りのワンピースによく映えた。健十くん、このワンピースを想像してくれたのかな。

「ゆかり」

剛士くんの声。今日はいい日になりますように……

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電車を乗り継いで、東京ドームまできた。

「ライブまで時間あるし、店入ろうぜ」

モールの中に入ると、剛士くんが手を差し伸べてきた。

「転ぶと危ないから、繋いでてやる」

剛士くんの優しさが嬉しくて、笑って手を差し出した。

剛士くんはジャンクフードが好きって知ってたから、ハンバーガーショップに入って、写真を撮った。
口いっぱいに頬張る剛士くんが可愛くて、つい見つめてしまったり、ヴィレバンで変なグッズを見て笑ったり、剛士くんを怖がらせたりした。

コーヒーショップで休憩しながら好きな音楽について話してたら、あっという間に夕方になり、ドームへと足を運んだ。

「でっけぇな。俺らもいつか、ここでライブするんだ。」

小さくない声で、抱負を語った剛士くんは、真っ直ぐだった。

「うん、そうだね。絶対できるよ。応援する。」

わたしは、ずっと貴方の燃える赤に惹かれているーーーーーーー

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