【金城剛士】超感でぃすてにー【B-project】
第2章 夏
2時間後、花火大会の時間なので冷房のきいた客間から蒸し暑い屋上に移動してきた。始まった花火はとっても綺麗。まさに夜空の大輪。みんなの目の中に花火が写って、いつも以上にキラキラしている。
「幸せだなぁ。」
この子達のキラキラをちゃんと守りたい。心からそう思った。
そして、
「剛士くん、勿体ないなぁ。」
ここに剛士くんが居ないことがとても寂しかった。
やっぱり全員で同じ思い出を作って欲しい。修学旅行中の教員のような考えに至ったわたしは、みんなが花火に夢中になってる間にこっそり剛士くんを呼びに行ったのだった。
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スタジオの明かりがついていない。
剛士くんはここに居ないみたいだ。
「なんだよ…みんなあんなに楽しそうでキラキラなのに…」
なんだか一気に萎えてしまったわたしは、管理人室で花火が終わるまで飲むことにした。いいよね。今日は管理人の仕事もお休みの日だし。
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久しぶりにビールを500ml、2本、1時間で飲み干してしまって、花火も残り30分の時間になった。やっぱり諦めきれなかったわたしはもう一度スタジオへ足を運んだ。
「剛士くん。」
いる。
酔っ払ってるし、嬉しくて、ノックもせず入った。
「剛士くん!やっと見つけた。花火見ようよ〜!もう終わっちゃうよ。」
「なっ?!ゆかり!!ノックぐらいしやがれ!」
怒られた。しゅーんとしてると赤い瞳に顔を覗かれる。
「??らしくねーな。なんだ、酔っ払ってんのか?」
「そーだよ。剛士くんが一緒に花火見てくれないから。寂しくて、探してもスタジオにいないし。飲んじゃったんだよ。」
私の言葉を聞いて、顔を赤くする。
「あー…ワリ。その時は多分、切れたギターの弦取りに部屋行ってた」
「ギター弾くの?曲できたの?聴かせてよ。」
「ハァ…」
酔っぱらいのだる絡みなのに、ため息ついたあと、弾き語りしてくれた。
「なにこれ…かっこよすぎ…」
目を閉じて聴き入っていたわたしはいつの間にか…
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「あ?なんだコイツ…子守唄じゃねーっつーの。」
「でも……お前のためになら、また歌ってやる」
優しく私の髪を梳き、抱き上げてくれたーーー