ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第15章 言い伝え……?
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私は三本の川魚を買った
鮎の塩焼き、あまごの塩焼き、子持ち鮎の塩焼き
結局、誘惑には勝てなかったのだ
………だって地元でとれた天然だって店員さんが言っていたし………
昔ながらの囲炉にてズラリと並んだ塩焼き
店に近寄れば寄る程香る芳ばしい匂いは食欲を促進させて
本格的な囲炉裏焼きを目の前で見せられては抗う術が無かった
寧ろ抗える人は異常だ、くらいに思う
「鮎はカロリーそんなに無いでしょ!!」
彼はそんな私の隣で子持ち鮎を一本だけ注文した後、何も言わなかった
鮎は店内で食べる事も出来るが私達は車内に持ち帰って食べると決めていた
道中スーパーで購入したおにぎりやインスタント食品の数々
時刻は15時を少し過ぎた頃で夕飯と言うにはかなり早いが、お酒を傾けながらゆっくり楽しもうと話していたのだ
何せ今やこの車は私達の家も同然なのだし、たまにはまったりと観光もお休みして車中で過ごすのも贅沢な時間のひとつだろう
寧ろキャンピングカーで旅をする醍醐味のひとつかもしれない
「ちょっとテーブルセットするから持ってて。」
なんて鮎を預かった私は実に身軽にベッドマットを持ち上げる彼の背中を見守る
私達のキャンピングカーの基本形態はこの一週間程でぼんやりと固まりつつあった
朝、朝食の準備をする際等にはマットを折り畳んで十分な場所を確保して調理
食事は運転席側で取る
夕飯時にテーブルを出し、がっつり食事をする際は衛生面を考慮してベッドマットを仕舞う感じだ
早くも手慣れた様子でベッドマットを器用に仕舞う彼はこの作業を率先して行ってくれている
一度私が任された時に、その分厚さや重さに翻弄されてかなり手間取ってしまったのが主な要因だろうが……
何にせよ優しい人だと私は思う
折り畳み式のテーブルをガチャンとセットしてフルフラットの座席を戻せば小さなリビングルームの完成だ
「いつもありがとうございます!」
「別に。」
ホクホクと温かい鮎を抱えながら車の扉を閉め切れば、いよいよ私達のまったりタイムがスタートした