第15章 言い伝え……？

新婚旅行【岐阜県編】３




14:17




白○郷を観光した私達は車内にて出来立てほやほやの思い出話に花を咲かせていた



世界遺産としても行きたい観光地としても有名な其所は、やはり有名なだけあり見所満載の素敵スポットだった


ガイドさんが付いて詳しく説明してくれる観光プランもあったが、頑なに拒否を示す彼は北海道にて人生初のツアーに参加した際の再来を思わせた


昔ながらの建築様式である合掌造りの家を現在に残す風景は何処までものどかで

農村の原風景とも言える山深い景色は比較的都会育ちの私でも昔話の世界に入り込んだみたいにどこか懐かしく感じた

西洋風の街並みで育った彼にしてみれば随分と新鮮に感じただろう

彼は時折立ち止まっては繁々と眺めてみたり木戸にそっと触れてみたりと無表情ながら楽しんでいる様子で

そんな彼の姿を引くほどカメラに残したのは言うまでもない




「いやぁ～綺麗でしたね」


「うん。」


「岐阜県は水が綺麗なんですね～」


「比較的そういう場所が多いんだろうね。」


「何か思ってたより広かったけどあっという間でしたよね！郡○八幡とか同じ県やのに全然違う魅力がありましたね」


「同県内でも地域が変われば当然景色も違うだろうよ。」


「これなんかめっちゃ良い写真ですよ、イルミさん！見てください！！」


「運転中だけど見て良いの？」


「……っ！！駄目です、ごめんなさい」


「……はいはい、後で見るよ。」



車内に掛かるお気に入りの音楽と愛しい彼の声が混ざって心地好い


窓の外には薄く伸びた白い雲と淡い空


私達は沢山の思い出を共有しながらまた次の目的地を目指しているのだ