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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第12章 瓦、彼方へ







アナウンスと共に降り立った島の港は小さな島に良く似合う小ぢんまりとした所だった

しかし神のいつく島と呼ばれるだけあり何だか空気がとても新鮮な気がする


見渡さずとも全体が見て取れるそこには昔ながらのお土産屋さんが数件並んでおり雰囲気だけで言うならば随分とレトロな田舎気分だ

波止場に揺れる水は水色に輝いて透き通り小さな魚群が船の下に悠々と泳いでいる

港だけ見ればぼくのな○やすみみたいだ!なんてはしゃぐ私だが、途端にサラリと手を絡められ振り返る事無く歩き出す彼の背中にほんのりと体温が上がった


サラリと艶やかに流れる黒髪と白いワイシャツが目に眩しい………


ドキドキと胸を高鳴らせながら引かれるままに歩み出し、販売機で拝観券を購入した後に私達を待っていたのは私の笑顔を簡単に消す光景



先が見えない程長く連なる石階段だった




「……………」


「行くよ。」



…………しかも結構急じゃないか………


真夏じゃないにしてもまだまだ残暑で汗を流すこの季節………


大幅に筋力の落ちた私が挑むにはそれなりの覚悟が必要だった


ゴクリと唾を飲み込んで照れくさく緩く握っていた彼の手を強く握りしめる


(…………イルミさん……引っ張って………ッ!)


そんな他力本願甚だしい事を願いながらも一段また一段と足を動かし始めた私達


…………一体何段あるんだ…………!!!


暫く上がってみてもまだまだ先は程遠く短く息を吐く私に彼は汗ひとつ流れていない端正な顔を向けて




「全部で165段あるらしい。祈りの石段と呼ばれているんだって。」




今の私には絶望的な数字を口にした







……………165……………祈りって…………早く階段終われって祈りですか………………?






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