ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第12章 瓦、彼方へ
…………………しかし綺麗な手だ…………
私より随分と大きな手は男性らしからぬ長く可憐な指をしている
この手が暗殺者の手だなんて誰が思うだろう…………なんてどれくらいの間ぼんやり見惚れていたのだろう
「いつまでそうしてるつもり?」
溜息まじりの呆れた声が耳を擽って私は慌てて握ったままだった手を離した
バクバクと高鳴る心臓をそのままにチラリと盗み見れば
テーブルに頬杖を付いて余裕綽々に此方を見ていた彼と目が合ってしまった
「すみません……怪我無くて良かったです………」
気恥ずかしさから挙動不審に視線を反らしてたどたどしく呟いた私の隣で
「はいはい、……冷めない内に食べよう。」
彼がクスリと小さく笑うのが聞こえた
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23:07
夕飯は初めてながら大成功だった
備え付けのフリップダウンモニターにて贅沢にテレビなんて見ながら今日の思い出話に花を咲かせた私達
洗い物に水汲み、お手洗いに歯磨きと車内外を行き来するのは当たり前の事ながら楽しいと不便が入り交じるものなのだと知った
そして現在、私達はきっちり敷いた布団にて記念すべき第一夜を過ごそうとしている