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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第12章 瓦、彼方へ







米を磨ぐなんてかなり庶民的な姿に見えるが実はサバイバル術に長けている彼自身には山菜を調理するのと然程違いが無いらしく

きっと森の奥で野宿している時と同じ感覚なのだろう

実に黙々と作業に勤しんでいた



「大丈夫そうですか?」


「うん。」



全ての食材の下処理が終わり市販出汁の鍋がカセットコンロの上でグツグツと煮える

この日の為に購入したプラスチック製の取り皿にラップを掛ければ洗い物も楽チンだ

収納式のテーブルにて二人並んでスタンバイする私達は鍋の出来上がりを今か今かと待っていた

鍋をコンロから取り上げたら次は米を飯盒の要領で炊き上げるのだ


只料理を待っているだけなのに全てが非現実的な空間

極稀に彼とキッチンに立つ事はあっても今日みたいに一丸と成ってという感じでは無かった

きっとこの旅にやって来たからこそ知れた彼の素顔だ

それだけで価値のある今


グツグツと煮える鍋は湯気を上げて車内の冷房をぬるくする



「そろそろいいんじゃない?」


「ですかね!お腹すいたぁー」



鍋つかみを装着する私より先に素手で蓋を開いた彼は熱々に成った陶器を涼しい顔で掴み上げてあっという間に鍋敷きの上に鎮座させた



「ちょっ!大丈夫ですか!?火傷してません!?!?」



平凡に暮らしていてはそう見ない光景から咄嗟に彼の手を掴み声を荒げる私に彼は小さく息を吐いた



「これくらい訓練してるから平気だって。」



淡々と紡がれた声に彼の特殊さを思い出す

掴んだ手は何の危なげも無く少し温かい程度だった






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