ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第12章 瓦、彼方へ
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17:45
その後私達は下町らしい銭湯へ入った
番台があって、いつの時代のマッサージ機だろう?みたいなのが並んだ非常にレトロな銭湯
彼は大衆浴場が嫌いだが車旅には付き物だと承知してくれた後からは嫌な顔ひとつせず
「ほら、さっさと行くよ。」
いつものシャンプーとトリートメントが入ったお風呂セットを持って私を急かした
面白かったのは浴場で天井部が開いている事で彼が地元のお爺ちゃん達に声を掛けられている事だった
反響で「いい身体してる」「髪が長い」「男前」なんて声が聞こえて
人との接触が苦手な彼は平気だろうかとハラハラしたが苦手なりに「わかったから」なんてあしらっている声色にクスクスと笑ってしまった
ビンの牛乳を買って崩した10円玉でドライヤーを使い、味のある一時をたっぷり堪能して再び顔を合わせた私達
そこから少し移動したキャンピングカーOK、お手洗いのある駐車場を今夜の寝床と決めた
「さて!夕飯にしましょうか!」
「そうだね。」
今夜分だけの買い物袋には夕飯の食材
私達は生まれて初めての車内クッキングへ取り掛かる事にした
「何鍋?」
「鶏ガラ鍋です!」
この旅を始めるにあたりカーライフにおいて勉強する内に知った知識、初心者向けな料理は鍋だった
幸い彼も鍋好きなので良かったと思う
後部座席にやって来た私達はピカピカの備え付け棚の上にまな板を置き野菜を切っている
車という概念の中で不思議な音が耳に響いてワクワクと弾む胸
彼は開け放ったままの扉の外で米を磨いでくれている
緩くまとめられた長い髪としゃがんで小さくなった背中を盗み見てニヤニヤが止まらない