ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第11章 気まま旅の始まり
すっと細められた鋭い瞳と真剣な声色はポカンと呆けた私に話を続ける
「ニンジャは日本古来から忍び、暗躍してきた所謂暗殺者だ。そんな奴らが簡単に手の内を明かすとは思えないし俺には考えられない。きっと全ては偽造されていて敵の偵察が潜り込んだ場合抹殺されるだろう。」
「……………」
「受付を見る限りあいつは素人だけどきっとこの敷地の何処かに本物が潜んでるよ。」
「…………なるほど…………」
………………絶対に違うけどその発想は無かった…………。
暗殺を生業とし、殺伐とした世界に生きる彼故の見解は平和な日本には無いものだ
染み付いた警戒心が彼をそうさせるのは無理も無い
その判断や感覚ひとつで簡単に命を落としてしまうのだから
…………だけどここは本当に只のテーマパークなのだ……………
シリアス風に語った彼には大変申し訳ないが私はそんな彼を密かに可愛いが過ぎると絶賛した
暫く歩いた私達の前に現れた忍者コスチュームの人は実ににこやかだった
洞察力を駆使して観察する彼だが本当に感じの良い只の従業員さんである
人一人が渡れるくらいの丸太橋を渡り古びた井戸や木製の牢屋等、忍里の雰囲気を盛り上げるモニュメントを通り過ぎた後
私達は忍者屋敷に到着した
瓦と茅葺きの屋根、更には敷地を山々が囲んでいる事で雄大な自然の中に広がる空間は足元が舗装されていない事もありタイムスリップした様な雰囲気を醸し出していた
甲賀忍者発祥の地に違いないけれど本当にこの場所に住んでいたのかなぁ………なんてワクワクと辺りを見渡す私とは裏腹に
彼は未だ警戒モードで屋敷を見据えている
「中見れるみたいですよ!見ましょう!」
「………まぁ、そうだね。」
私と彼のテンションは雪山と砂漠くらい全く違うが私は俄然楽しむつもりでいる