第11章 気まま旅の始まり

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滋賀県に入った私達が始めにやって来たのは満月寺というお寺


新婚旅行一発目にしては渋い気もするが彼が決めた都道府県の中から二人で決めた観光地

しかしルートや行程等は計画的な彼に全てお任せしているので私は正確な行程を把握していないのだ




という訳で到着した満月寺はまだ時間が早い事もあり人気が無かった

たった数時間走った車は私達の住まう街とは違った景色を見せて深呼吸すれば緑の爽やかな空気が肺に広がる



「いよいよ始まりましたね！！」


「うん。」


なんだかとても清々しい朝だ



海門山満月寺、通称は満月寺、なんて可愛い名前のお寺だが別に可愛いからなんて安直な理由で決めた訳では無い


近江八景の一つと言われる事から絶景スポットに違いなく、お目当てはその満月寺の中にあるお堂

堅田の落雁…………なんて意味は良くわからない私だがとにかく名高い浮御堂を参拝しに来たのだ



歴史的建造物に興味深気な反応を示す彼もきっと喜ぶ筈だと選んだ名所



黒い長財布から拝観料の小銭を払う彼に小さくお礼を伝えれば彼は不思議そうに眉を寄せた後

私達を迎えた立派な門へ繁々と視線を巡らせた



彼の世界に身を置いていた事で染々感じるのは洋風な国々において日本特有の木造建造物を間近に見る機会は早々に無いという事で

彼の反応は希薄ながらも海外からやって来た観光客のそれと同じなのだと思えば緩む頬を必死に噛み締める



「行こうか。」


「はい！」



門を随分と眺めた後に向けられた瞳は少し楽し気に見えて胸がキュンと高鳴った