第11章 気まま旅の始まり

少し進めば視界に広がる広大な湖へと伸びる石造りの橋

そこかしこに繁る松の木が実に和の情緒を盛り上げる




「魚いてますかね？」


「どうだろう。」




チャプチャプと海とは違った穏やかな波音に誘われて石橋から湖を覗けば彼も隣で同じ様に水面を見詰める



「琵琶湖は昔よく来たんですけどここは初めてです！」


「そうなの？」



透き通った美しい水が揺れているだけで心地好い



「いっぱい泳いだし、ブラックバス釣りしてたんですよ！ここにもいてるんかなぁ」


「………ブラックバスって確か外来魚だよね。」


「そうですね……人間が放ってしまったから「どうでもいい。」


「あはは…………あと琵琶湖は関西の水道水になってます」


「へー。」



他愛ない会話を続けながら石橋を渡り切れば湖上に佇む浮御堂に到着した


お堂は思っていたより小ぢんまりとしているが正面がぐるりと回った湖側に開いており

まるで浮島の様な情景はそれだけで楽しいものだった


彼も水に浮かぶお堂という一風変わった不思議な光景に興味津々で暫く眺め続け、私はそんな可愛い彼の姿に心臓を打ち抜かれながらもデジカメでバシバシ写真を撮って


わざわざ陸地に戻り湖に浮かぶお堂と松が映り込む最高のロケーションで遠目からも美しい彼が佇む姿を激写した一枚は私のお気に入りと成った