ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第10章 切実に願う話
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
「!」
バクバクと脈打つ心音と嫌な冷や汗
私は顔を上げた彼に思い切りダイブしながらもその姿から目を離してはいなかった
古ぼけたアパートに主とでも呼ばれそうな生命体
…………そう、アシダカグモである
その体はスリムながら亜熱帯のタランチュラを思わせる長く太い脚、その全貌は自身の手の平程はありそうな巨大グモ
皆が大嫌いなGを狩る能力に長けている事により彼が連れて来たリーサルウェポンはGと張るビジュアルの強烈さを持っていたのだ
「……クリストファー軍曹がお目覚めになられた……」
と、妙に畏まってしまったのもクモとは思えぬ威風堂々とした出で立ち故だった
ちゃぶ台の陰にて優雅にご自慢の脚をスリスリと手入れする仕草に背筋が震える
そんな中悠々と唇を開いた彼は静かな声を紡いだ
「害虫を食べるクモね。」
「………クリストファー軍曹ですね」
「ゴキブリハンターの。」
「クリストファー軍曹ですね」
「……………。」
事も無さ気に作業を続けていた彼の手が止まる
「……何その名前。」
「屈強な戦士にふさわしい名前でしょう」
未だ優雅にお手入れに勤しむ軍曹を二人で凝視する謎の時間