ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第10章 切実に願う話
「クモはクモだろ。」
「クリストファー軍曹です」
「……実質あいつがあの時のクモだとも限らない訳だし。」
彼は別に何に拘っている様子も無く淡々と言を紡いだ
しかし私ははっきりと首を横に振った
「いえ、あそこにお見えなのは軍曹に違いありません」
…………本来私のアパートに軍曹は生息していなかった
つまり彼が連れて来た個体以外に存在していなかったのだ
そんな巨大蜘蛛がピンポイントで私の部屋に現れるなんてそんなの軍曹しか有り得ない!!!
留守の間私は軍曹に家を託していたし………
「………よくそんな事わかるよね。」
彼は黒々と大きな瞳でゆっくりと瞬きした後に
「どれも見た目同じじゃん。」
至極真っ当な台詞を呟いた
そんな彼に精一杯胸を張り
「あれはクリストファー軍曹なんですよ、何せこの家を任せましたから!!」
「………ふーん。」
私が確かな声を発した頃にはクモの姿は消えていた
………………私にだって本当はわからない……………っ
だけどクリストファー軍曹では無いんだとしたら…………?
このアパートに無数の巨大蜘蛛が巣食っていたら……………
………………いや………………定かではないが軍曹だと、そういう事にしておこう
そう願って止まない