ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第43章 知人に会う話
私に叩かれた事に眉を持ち上げて怪訝そうに疑問をぶつける瞳をチラリと見上げ、再び目の前の前田なるおじさんを見詰めれば、それはそれは愉快そうにお腹を抱えて笑っていた……怒っていなくて良かった……
「ひ〜腹痛いわ……っ!明日差し歯が入るんや!相変わらず生意気な奴やなぁ〜!」
暫く笑っていた前田さんは目尻のシワを更に深くして、太い指で溢れる涙を拭う
「いやぁ笑った笑った!隣は彼女か!」
「妻だよ。」
「おー結婚したんか!奥さん始めまして、前田って言います!」「あ、はじめまし「コイツとは前に職場が一緒でよう話てたんですわ!よっしゃ!今日会ったんも何かの縁や、俺が奢ったる!」
「沙夜子と2人で済ませる、それじゃあ「あそこの串カツが安くて旨いんや!行くぞ〜!」
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21時35分
強引な前田さんに連れられて入った串カツ屋さんは常連さんで賑わい、ちょっとした1品まで本当に安くて美味しい穴場店で
そういった雰囲気を懐かしく感じながらお酒を飲めるとあって、私は上機嫌だ
コテコテの大阪のおじさん前田さんは、やはり私にもフレンドリーで陽気に沢山話してくれて私は彼に替わって相槌を打つ
「な、神崎!」
「……………。「そうなんですね!知らんかった〜!」
「相変わらず無口な奴やなぁ〜、奥さんこんなに明るいのにお前もっと喋りや!」
ゴクゴクと喉を鳴らしてビールを流し込むと、また彼へ話し出す前田さん
主に現場での彼との思い出話で、彼がめちゃくちゃ身軽であったとか、ある日足場から落下しそうになった前田さんを彼が軽々助けたとか、私としては大変興味深く大興奮間違い無しのめちゃくちゃ楽しい内容なのだが
「あの時神崎が持ち上げた鉄骨あれ200キロあったんやぞ!監督がびっくりしてたんやからな!?」
「凄ーい!!イルさん力持ちですもんね!」
当本人である彼は全く興味無さ気に黙々と串カツを胃に消している
しかし時折ポツリポツリと「あっそ。」と落とされる相槌や彼の醸す空気から嫌気は一切感じなかった