ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第43章 知人に会う話
ただ再会に嬉しさを滲ませ、クールな彼に臆する事なく話し続ける前田さん
そしてその話に静かに耳を傾ける彼の姿から、きっと彼等は昔からこんな風にコミュニケーションを交わして関係を築いたのだろうと感じた
ゾルディックという肩書も、彼が暗殺者であるという事も何も無い世界
私の知らない彼だけの時間に友人と呼べそうな人がいて、その事が何だか嬉しい
それが証拠に、現在は現場仕事を離れてトラック運転手をしていると話す前田さんに彼は現在会社を立ち上げて経営していると話した
その他にも子供が生まれた事や私との馴れ初め(設定)等、決して彼主導ではないけれど、聞かれれば彼はすんなり答えたのだ
その度に心底嬉しそうに笑う前田さんは彼にとって何か特別な関係値の人なのだなと思う
「好きに生きてるなぁ神崎!俺もやけどな!」
豪快に笑う前田さんを前に彼の黒目がちな瞳が何処か遠くを見るように細められて薄い唇が小さく笑う
「うん、好きに生きてるよ。」
友人だと言うと彼はきっと否定するだろうけど、誰よりも彼の近くにいる私から見れば、年齢こそ違えど凸凹で楽しい友人同士に見えた
「前田、前歯の所にコーンが詰まってるよ。」
「アホかお前、歯の代わりに詰めたんや!」