第43章 知人に会う話

私達……主に私は暫く藤木御夫婦と夢中になって話した


そんな中でも盛り上がったのは2人の馴れ初めの話




『おっちゃん……俺弟子入りしたい！』『Yes～.』の一言であっさりとインドカレーの露店へ弟子入りした藤木、そこにお客さんとしてやって来たのが友美さんだった


友美さんは元気で明るく好奇心に満ちた人なのだろうと話しているだけで感じさせるハツラツとした人で、10代の頃からバックパッカーとして世界中を飛び回っていたそうだ

そんな友美さんの感性に名も無き露店に弟子入りした日本人というのは随分面白く、それでいてそのチャレンジ精神は親近感を抱く存在だったのだとか

インド滞在中何度も店に通う友美さんと藤木が仲良くなるのに時間はかからず

目標に向かってひたむきに努力を積む藤木の姿に友美さんは気が付けばハートを射止められていたのだ

ただ、当時の藤木は本当にがむしゃらだったので友美さんの気持ちに全く気付いていなかったと語っていた

だが、そこは行動力抜群の友美さん……とにかく店に通い詰め、スパイスの買い出しや扱い方等の調理補助にも積極的に参加

全ては大好きな藤木を、藤木の夢諸共支えたいと思ったのだと笑った友美さん


本当聞けば聞くほど凄かった！！


最早露店の弟子が知らぬ内にもう一人増えている勢いでグイグイガンガン押しまくり、時に挫けそうになる藤木を全力で支える友美さんの存在は、いつしか藤木のハートをガッツリ射止め2人は見事にゴールイン！


私は感激しながら拍手喝采を贈り、逆に私達の馴れ初めに瞳を輝かせる友美さんは恋話にウキウキしていた


申し訳ないながら事実とは異なるけれど……トルコへ彼を追い掛けて行ったという設定だ

言えないあれやこれやを省き、異国で山を超えてドロドロになって野宿して……


「「やっぱり行動あるのみですよね！」」


なんて見事にハモった私と友美さんは固く握手を交わした