• テキストサイズ

ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第43章 知人に会う話





「俺がプロってるのにはガンジス河より深い訳があってな………」


無駄に空を仰いだ藤木を私達は無表情で見詰める


私達が結婚した当初藤木にはゾッコンだった彼女さんがいた

藤木はその彼女を夢中にしたいんだ!と彼を師匠と仰ぐくらいであったのだ

しかし私達が知らぬ内に振られていたらしい



「不意にさ、思い出してん……さーやがイルさんに会いに行くってトルコに行った時のこと……それでインドに行こうって思ってさ……」



「……元カノさんインド人やったっけ」



「めっちゃ日本人。…………でもほら自分探しの旅って言うたら何かインドやん?」



そんな漠然とした理由で藤木はバックパッカーデビューした

リュックサックに必要最低限の荷物を詰めて初めての海外旅

インドに自分はいないと思うけれど、藤木はそれはそれは様々なカルチャーショックを受けたそう

水に当たって腹痛になったりガリガリの野良犬に囲まれたり



「ほんまめっちゃ怖かったんやぞ!?もうガリッガリでさ!」


「ウケる」


「ほんまに見たら笑ってられへんからな!あとガンジス河めっちゃ臭い」



とにかくそんな中でも衝撃だったのが本場インドカレーの美味しさで

その中でも露店で提供されたその味に惚れた藤木はビザを取得してそのままその露店の店主に弟子入りしたのだそう

そして藤木はいつしか日本にてキッチンカーでインドカレーを売りたいと思うようになったのだとか



………本当昔から思っていたけれど行動力抜群だ………



その修行の成果が今ここに提供されたカレーで、藤木は旅の結果夢を見出し、本当に自分を見付けたのである

彼は話の内容に全く興味無さげながら、カレーは御口に合ったようで黙々と食を進めていて




「でも凄いよ、めっちゃ美味しいもん!このカレー!」


「カリーな?」


「うざ」




なんて互いに笑顔で軽口を交わしていると背後から「ただいま〜」と女性の声がして

それに藤木が笑顔で「おかえり!」と言った

買出しに出ていたのか受け渡されるビニール袋

ショートカットがよく似合う明るい雰囲気の女性は私達を見るや元気な笑顔で「いらっしゃいませ!」と声を弾ませた


2人お揃いのオレンジ色のエプロン



一際幸せそうに笑った藤木は「紹介するぜマイワイフ」と女性の肩を抱いた
/ 341ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp