ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第43章 知人に会う話
「キッチンカーで働いてるんやぁ!何か似合ってる」
「ふふん……そうやろう」
途端にドヤ顔になる藤木節も健在で、思わず笑った私だが
「念願叶って今年やっとオープンしたのさッ」
鼻高々にニヤリと笑った藤木に目を見開いた
「えっ、自分のお店!?」
「そう、藤木くん今はこのインドカリー号の開業者なんやで!」
正直、藤木が何を目指していただとか夢だとかそういった事を話した事は無いけれど『念願叶って』と笑ったその顔は本当に嬉しそうで私まで嬉しくなる
何だか今日は嬉しい事ばかりだ
「……ねぇイルさん!」
気持ちをそのままに弾んだ声色にきっと彼はその先を察したのだろう
私が続きを紡ぐ前に彼はキッチンカー横に出されているメニューへ視線を走らせていた
そうと決まれば思い切りの良い彼の素敵な所だと思う
本日のランチはインドカレーに決まりだ!
遅ばせながら隣立ってメニューを覗くと、想像よりもずっと本格的で種類豊富なカレーがズラリと並んでいた
鼻を擽るスパイスの香りにグルグルと騒ぎ出すお腹
頻りに「奢る!」とはしゃぐ藤木にささやかながら『開店のお祝いだからちゃんとお支払いしたい』と断りを入れておく
「オススメ何ー?」
「チーズ好きならパラックパニール………って言ってもさーやは知らんか……な……?」
「相変わらず腹立つなぁ〜、何かわからんけどそれひとつ!イルさんは?」
「じゃ、同じの。」
「ご注文承りました〜!」
なんて元気にキッチンカー内に戻った藤木は本当にイキイキとしていて
あっという間にパラックパニールなるカレーを持って来た藤木は、これが一体どんなカレーなのか教えてくれた
要約するとほうれん草と生クリームをベースに濃厚なカッテージチーズが絡む野菜カレーだそうで、見た目や香りからも食欲をそそる一品
一口頬張って本当に驚いた
提供されたカレーは、想像よりも遥かに本格的で濃厚な深い味わいだったのだ
「美味しい………!凄いやん藤木!めっちゃプロになってる!」
その言葉に更にドヤ顔を浮かべた藤木が何やら饒舌に語り始めるのも健在であった