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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第43章 知人に会う話








人が目玉を落としそうになった挙げ句、妙に虚しい自己完結に至っている間も彼は恥ずかし気な素振りも無く唇を開き





「自覚したのは春頃だけど。」





私にセカンドインパクトを与えた




【春】(はる)とは、寒い冬を越えて暖かくなる季節。花が次第に開き、人々が過ごしやすい気候になるが朝晩はまだ肌寒い。代表的な花は桜。脳内Wikipediaより



 

私達が出会ったのは年末…………彼が恋心を自覚したのは春……………





「俺は答えたよ、沙夜子はどうなの?」


「あ、はい私はもう会って数日ですよ。1月です、近所案内して公園でお弁当食べた日に耳元にお花飾られてイチコロです………」






…………………春には両思いだったんだ…………




彼は私の想像よりもずっと早くに恋心を自覚していた



それからずっと同じ気持ちを抱えたまま私達は奇妙な同居生活を送っていたのだと思えば嬉しくて、擽ったくて、それでいて感慨深い不思議な気分だ………


ぼんやりしたままペラっと白状した私に彼は目を少し見開いた後に




「そんなに早かったんだ、気付かなかった。」




普段通りの声色で言った彼もまた、私が想いを自覚した時期が想像よりずっと早かったみたいで

リアクションに差はあれど互いに驚き合っている今が無性に楽しくて笑った




「何か不思議ですね!」



「だね。」




いつの間にか何気なく立ち止まっていた"いつもの街灯"だった場所で今の私達が時間を重ねる


そんな今が愛しい程に大切で



「ランチ、何食べたいの?」




なんて一歩踏み出した彼の手をギュッと握って

あの頃と変わらず全てを噛み締めながら隣を歩く


風に流れてサラサラと肩から揺れる黒い髪の眩しさに目を細める一瞬ですら幸せで



「イルミさんは何か候補あります?」



「特に無いから沙夜子の好きなのでいい。」



感慨深い気持ちに浸っていると賑やかな雑踏の狭間から声が耳に飛び込んだ




「おーい、そこのお姉さ〜ん!!」




感慨深さは何処ヘやら……だが、何とも聞き馴染みのあるその声に顔を上げるも、響く声は随分と遠く辺りを見渡す

正直こう遠くては私に呼び掛けている保証も無いけれど…………





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