ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第43章 知人に会う話
互いに無言の一時に賑やかな雑踏が耳に響いて、妙に落ち着かず握っている彼の手を無意味に揺らしていると
「多分一目惚れじゃないかな。」
全くの予想外な言葉に私は目を見開き過ぎて目玉が落ちそうになった
【一目惚れ】(ひとめぼれ)とは、その名の通り、一目見ただけで恋におちてしまう事、一目見た瞬間に特定の相手に心奪われる様。脳内Wikipedia参照
何を言われたのかわからず思わずスマホで検索して彼に見せる
「………使い方間違ってますよ」
「いや、合ってるけど。」
私は再びスマホ画面の文字に視線を走らせた
【一目惚れ】(ひとめぼれ)とは、その名の通り、一目見ただけで恋におちてしまう事、一目見た瞬間に特定の相手に心奪われる様。脳内Wikipedia参照
…………???
ヒトメボレってなんだっけ………?
潔癖な程に人を寄せ付けない彼特有の雰囲気、話している今でさえ不思議に思える美貌を称える中性的な見目に長く艷やかな漆黒の髪がミステリアスに揺れる
どこか愁いを帯びた黒い瞳に薄い唇
本当に呼吸をしているのか、この世に存在しているのか、彼を構成する全てが美しい
そんな彼の口から今何と……………?
まるで突然宇宙空間に放り出された様な感覚に襲われて呆然としている内にも彼は淡々と語る
「多分ね、最初から触れるの平気だったし。」
未だ混乱している頭だが彼の言葉から何となく察したのは、私が想像する一目見て雷に打たれたような衝撃的な恋………という訳では無かったのだろう事…………
潔癖な所がある彼が私の歯ブラシを無断使用し、同じ布団で眠るだなんて今考えるとかなり凄い事だ
…………つまり何故か分からないけれど触れても不快感の無い不思議な奴というスタートだったのだと推測出来る
………………やはり私と彼の間には『一目惚れ』という概念に相違があるらしい
そもそも彼は人の顔の美醜の基準とか無さそうな人だし、一目惚れなんてあり得ないだろう
やっぱり使い方間違ってるやん?とは思ってみても圧倒的に自己完結してしまって逆に冷静になった
………ガッカリよりも納得に近い心境である