第42章 ビーチの主役

「ねぇ、カニさん、かいたい！」


「ウチにはもっと凄いのがいるだろ。」


「……ぐんそう？」


「そう、カニを飼うなら軍曹は飼えない。」


「…………どうして」


「軍曹がカニを食べるから。」


「…………じゃあカニさんたべたい」


「…………焼く？」


「ちょちょ、待って待って！」




ペット問題から自然な流れで捕食に移った会話に待ったを掛ける


娘は確かに私譲りの食いしん坊である


しかし先程まで飼いたがっていたカニを飼えないと納得するや否や食べようとする娘に彼のDNAを感じる…………



しかも「焼く？」ではない


何をさも当然のように食べようとしているのだ




「そもそもサワガニって食べれるんでしたっけ……？」


「水に一晩浸けて水洗いして焼けば寄生虫の危険も無くなるし普通に食べられるよ。素揚げも美味しいらしい。」


「何でそんな事知ってるんですか………」


「テレビの受け売り。」


「カニしゃんたべたい！」




「……………一晩って事は明日ですか………」


「そうだね。」


「…………持って帰りましょう」


「了解。」


「愛菜！カニさんは持って帰って明日食べよう！」


「やったぁ！」




……………サワガニと言えどカニはカニ、ご馳走だ


明日食す事にしよう