ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第41章 彼が選ぶもの
「きゃ~〜〜っ!もう素晴らし過ぎます……!!!イルミさんかっこいい………っ!!!!」
テーブルに気怠く肘を付き、手に頬を預けた彼は心底呆れた様に深い溜め息を付く
「分かったから落ち着いてまず席に付いて。」
普段表情が希薄で人間味の無い彼の頬がプニッとしていて、超人みたいな彼にも柔らかい部分は存在するんだなとか
潜められた眉も冷たい瞳もどこかセクシーで、そこに座っているだけで世界の景色は彼を飾り立てる小道具になるのだと思わされる
今私の視界に映る全てが彼を中心に輝くのだ……………
突然の発狂に次いで今度は沈黙のまま惚れ惚れと彼に見惚れていた私は、連結扉から突然現れたウエイターさんに驚いて跳んだ
「………シャンパンと前菜をお持ち致しました。」
「あ、あはは、はい!あっありがとうございます……!いやぁ素敵な所ですね!」
「有難うございます。」
にっこり笑顔のままそっとテーブルに料理を配膳したウエイターさんは次いでシャンパンと前菜についての説明を始める
私はと言えば気まずさから変にヘラヘラしながらコートを脱ぎ、漸く席に付いたのだった
きっとウエイターさんも私の不審な言動に驚いた事だろう………微塵も態度に出さない辺りにロイヤリティーの高さが伺える………
「間もなく馬車は時計台に向けて出発致します、ごゆっくりお過ごしください。また、何か御座いましたらお手元のベルにてお呼び出しください。」
にっこり笑顔のまま深々頭を下げたウエイターさんはそのまま扉の奥に消えた
…………馬車でディナーだなんて特別感満載の仕様にイベント会社か何かが経営しているのかと思ったけれど、どうやら違う…………
さっぱり頭に入らなかったが、細やかな料理の説明やウエイターさんの態度から察するにこの馬車レストランは随分敷居の高いお店のようだ