ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第41章 彼が選ぶもの
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20時30分
冷えた指先を大きな手が包み、ガス灯の揺れる街を歩いた私達
クリスマスプレゼントを選び終えた私達に次いでやって来た時間は彼から私への誕生日祝いの時間だ
私からしてみれば大好きな彼と2人で美しい街を歩けるだけでご褒美なのだが、目的地も知らず連れられるまま歩いた先に待っていたのは本当に素敵なサプライズだった
「ディナーの予約をしているハガナーだけど。」
「お待ちしておりました、ハガナー様!どうぞ」
いつもの事ながら全く知らない偽名で予約されていたディナー会場は馬車だったのだ
「えっ!ディナーって……馬車でですか!?」
「うん。」
「めっちゃ嬉しい!!!」
彼より背丈のある大きな大きな異世界の馬は茶色い毛艶までツヤツヤで、タテガミが編み込まれてお洒落さんだ
名前はマイケル君、このマイケル君ひとりで黒塗りで見た目から重厚な連結の馬車を引くのだと言う
その力強さにも驚いてしまったけれど
「誕生日当日では無いけれど沙夜子の大切な日だからね、ほら行くよ。」
なんて手を引かれてキュンと胸が高鳴った
さも当然だと言わんばかりにサラリと告げられた台詞、優しくもしっかりと手を取った指先までどうして彼はこうも格好良いのだろう……
フワフワとした気持ちのまま足を踏み入れた馬車の中はキャンドルとガス灯が照らすロマンチックな空間が広がっていた
「わぁ……凄い……!」
シックな木目のテーブルセットに真っ白のテーブルクロス、控え目ながら上品な装飾、そして何より大きな窓から街並みを見渡せて更に雰囲気を盛り上げている
そもそも馬車でディナーを楽しめるだなんてメルヘンで私の趣向を完成に把握した選出に脱帽してしまう
繁々と辺りを見回し、私がどれだけの間感激していたのかは分からないが
「沙夜子、座りな。」
すっかりコートを脱いで席に付いている彼に声を掛けられ私は遂に歓声を上げた