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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第41章 彼が選ぶもの








「いただきます!」



店先で早速噛ったマフィンは優しい苺味で口の中で溶ける食感に小さく唸り声が出た



「……ん〜……美味しい」


「良かったね。」


「買ってくれてありがとうございます!イルミさんもどうぞ!」


「………いただきます。」



お行儀よくそう言った彼は私の身長に合わせて腰を折ると、サラサラ落ちる黒髪を長い指で掬って耳に掛けた

私の手にあるマフィンに落とされた視線に伏目がちな瞳、控え目に開かれた唇……その端々から途端に色香を漂わせ

私はただ見惚れるままに小さく彼の唇に消えるマフィンを見送ってからクラクラと目眩を覚えた



………彼はただマフィンを食べただけ……


彼が色香を漂わせたのはほんの一瞬で、すっかり普段の淡白さを醸した彼は露骨に眉を潜める

私としてはとても美味しいマフィンだが、どうやら彼のお口には合わなかったらしい

不快感を隠そうともせず「まず。」なんて漏らした彼だが、今の私の耳には入らなかった


普段は髪に隠れて見えない耳やその美しい横顔に魅了されて簡単に染まる頬が熱い


チャコールのロングコートに黒いハイネック、それによって浮き上がる肌の白さまで彼を型どる全てが眩しくて、見透かした眼差しで私を見据えながら




「どうしたの、そんな顔して。」




なんて分かりきっているくせに意地悪に言った彼を前にバクバク鳴る心臓が爆発しそうになった



「何でもありません!!」



声を裏返しながら言った私はその後熱を逃がすように無言でマフィンを貪った







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