ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第40章 ファミリーの庭園
視界がみるみる生理的な涙で潤む中
ようやく首筋から離れた彼は私の表情を見るなり満足気に笑った
人をまるでタンドリーチキンみたいに噛っておいて何故そんな顔が出来るのだろう
そもそも意図が全く理解出来ず文句を言おうと開いた唇、しかし私より先に言を発したのは彼だった
「どうしたの……何か思い出した?」
容易く顎を掬い上げられ交わる視線
悩ましく熱っぽい声色に咄嗟の言葉が喉に詰まった
彼の言葉からその意図が分かったからだ
痛みの奥にジワリと蘇る甘く激しい淫靡な記憶………首筋に噛み付かれる事がその記憶に身体に関連付けられて、まるで愛撫を受けたような気に………
っ………しかし図星だったなんてそんな変態性を知られたくない…………!!
いや、彼は散々私を変態だと思っているだろうが今回の羞恥は何と言うかベクトルが違う!!
煩い心音をそのままに何とか誤魔化そうにも上手い言い訳が何も出てこない
「えっと…………な、何も……!!と言うか痛いです!」
兎に角しどろもどろになりながらも、ここは強気にと逞しい胸板を軽く叩けば彼は余裕綽々片眉を釣り上げた
「ふーん?」
全部お見通しだと言わんばかりの態度でこちらを見据える彼を前に益々頬が熱を帯びる
もしも彼に筒抜けだったなら恥ずかし過ぎて今直ぐにでも奇声を発し爆散したい…………
しかし私が照れ隠しに怒鳴ったりしなかったのはまるで彼がただ戯れを楽しんでいるように見えたからだ