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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第40章 ファミリーの庭園








彼は本当に自由でマイペースな人である



「………イルミさんそんなにシシトウ好きでしたっけ?」



「シシトウって凄く辛いのもあるんだね、知らなかった。」



網を見据えたままトングをカチカチと鳴らした彼はどうやらその辛さに惹かれたらしい



「考えてみればシシトウってナス科トウガラシ属だし辛いのも当然だよね。」


「えっ、シシトウってピーマンの仲間じゃないんですか?」


「そうだね、どちらかと言えばピーマンに近いけれど……だからこそ唐辛子に似ているんだよ。」


「へぇ~!」


「ピーマンに似た種は非常に多くて青唐辛子なんかもその1種。」



出会ってからずっと彼の事を博学な人だとは思っていたけれど、まさか野菜の知識まで豊富だとは意外だ


まだまだ知らない彼の一面を発見して自然と弾む声



「イルミさんはお野菜の事にも詳しいんですね!凄い!」



しかし彼は網に視線を向けたまま言葉を紡いだ



「興味もないし野菜の事は知らないけど、カプサイシンについて知識があっただけ。」


「カプサイシン?……何か聞いたことある」


「所謂辛み成分なんだけど、カプサイシンには身体の特定部位の血管を狭窄させる作用があったり、後は催涙ガス等にも用いられる手軽な危険物質かな。」



淡々紡がれた言葉から家柄上で必要な知識なのだと分かった


毒物にも耐性がある彼ならカプサイシンの訓練も受けて来たんじゃないだろうか……

毒物よりも身近な食材に含まれている分ずっと幼い頃に訓練を受けているかもしれない


………しかし私が笑顔だったのは、語られた言葉より目の前の彼が心なし楽しげにシシトウを焼いていたからである


全ては憶測に過ぎないが、カプサイシンがトラウマになっていない辺りも彼らしい



「やっぱりイルミさんは博識ですね!」



蘇るはアパートでの記憶……パンケーキにたこ焼き……此等は彼が気に入り1週間食べ続けたものだ

きっと私がギブアップしていなければもっとずっと食べ続けていたに違いない


気に入った食べ物を1週間でも食べ続ける驚異の一途な彼がまた新たに好きな食べ物を見付けた瞬間に立ち会えている事に胸が温かくなった



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