ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第1章 帰路に付く
意気揚々と異世界を渡る行きは良かった
しかし帰りの事なんて全く頭に無かった私は本当に1円も持ち合わせていなかったのだ
新幹線のチケット売り場で自身の失態に気付いた時は絶望した
無事愛しのダーリンと生還したというのに帰路の目処が無くなってしまったのだから私のうちひしがれ様は相当のものだった
そんな私を真っ暗の瞳で見ていた彼は無言のまま私の手を引くと貴金属買い取り店へ流れる様に入店し、大金を携えて戻って来た
正直大金過ぎて今の手持ちがおいくらなのか怖くて聞けない
只、恐る恐るも一体何を売ったのかを問うた私に彼は淡々と真実を語った
事前に自身の世界で宝石類を準備し、此方で売却
そうする事で労働を伴わずとも現金を得た訳だ
…………しかし、身分証明や何やらは平気だったのか………と言い掛けた所でサイコな眼差しを見せた彼にそれ以上の事は聞けなかった………
そして極め付けに
「これで沙夜子も働かずに済むだろう。」
なんて病み全開に言われてしまえば静かに頷くしかなく
辛うじて店員さんの安否確認を終えたのだった
「死んではないよ、死んでは。」