ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第1章 帰路に付く
「………イルミさん、何でスーツなんですか……?」
かなり今更ながら彼がスーツ姿である事に気が付いて間抜けな声が漏れる
質の良いダークグレーの上下に、これまた上品な紺色のネクタイをきっちり締めた格好はそれはそれはお似合いで気絶しそうに素敵なのだが
何故その様な格好なのだろう…………?
純粋な疑問をぶつけた私に彼はチラリと視線を流すと淡白な声色を響かせた
「一応沙夜子の世界だから。」
「……あぁ、成る程」
正直真意はイマイチ掴めていないが最もらしく頷いてみる
多分私の世界で浮かない為だとか、これから一年生活して行く上で何らかの活躍をする服なのだろう………と思う
なんて、薄ぼんやりとした考察に気を反らした一時
彼の呆れた溜息が聞こえた
「………それよりも沙夜子の馬鹿さ加減には驚いたよ。俺が居なかったらどうするつもりだったの?」
「…………ははは、自分でもびっしりですよー……」
………これには乾いた笑みしか出てこない……
彼の言う私の馬鹿さ加減と言うのは数時間前に発覚したある事件の事だ
驚く事に…………私は無一文だった