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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第40章 ファミリーの庭園







しかしながら素直に喜べなかったのは、彼への心配が上回ってしまってどう返すべきか少し戸惑っただけなのだ


私はその旨をしっかりと彼に伝える事にした



「BBQ出来るのはめちゃくちゃ嬉しいんですけど!」



貴方の身体が心配なのだと主張した私、彼の観察の眼差しは途中から普段の気の抜けたものになっていた


すっかりソファーにて長い脚を組んだ彼はその仕草だけで私を隣へと誘う


そんな些細な事に尚もドキドキしつつも、隣へおずおず腰掛ければ彼は私を覗き込んだ

大きくて吸い込まれそうな瞳はいつの時だって真っ直ぐに私を見詰める



「ここの所少し立込んでいるのは確かだ、だけどずっとこのままじゃない。」


「それやったらやっぱり忙しい今やからこそ休んだ方がいいんじゃないですか……?」


「しっかり休息はとっているし体調は万全だよ、そもそもパフォーマンスを下げるような無茶はしない。それならば気分転換をする方が有意義だと思って。」



彼が真っ直ぐに届けてくれた言葉はきっと真実で、彼の口から気分転換という単語が出た事に少し驚いた



「気分転換……」


「そ、気分転換。」



なんて言いながら視線を娘へ向け気怠げに息を吐き出した彼は、数年前休日は鍛錬を詰み情報を収集するのだと話していた

生業である暗殺こそ、仕事こそ彼の世界であり彼の軸だった

そこに新たな世界が広がっているのだと妙に実感したのだ

だからといって彼の暗殺者としての意識は先程の発言から寸分違わず揺らいでいない事も伺える

………だけど、その余白に2人で作った様々な思い出が収まっているのだと思えば嬉しくて胸が熱くて堪らなくなった






「そりゃ大事ですよ気分転換!!!!しましょうBBQ!!!!!」




途端に威勢良く立ち上がった私の隣で彼は「早く支度しな」と静かに急かした





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