ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第40章 ファミリーの庭園
いくら彼が常人では有り得ない程屈強で強靭な肉体を持っていても、それにだって上限はある筈だ
息子の授乳で真夜中目を覚ますといつの間にか私のベッドに潜り込み隣で眠っていたりするのを何度も見ているし、それが懐いた黒猫ちゃんみたいでスペシャル可愛いという話は今は置いておき………
プロ意識が高く自分自身を徹底管理している彼が無理をしているとは思わないけれど、そんな調子ではいつか疲れがドっと出るんじゃないかと日々心配なのである
本日の彼は丸1日休暇……………是が非でもゆっくりまったり過ごして頂かねば!!!!
「今日はBBQをしよう。」
「………へ?」
「会場は抑えてある、行くよ。」
「………えっ!?」
リラックス効果のあるミントティーや柑橘類を使ったスイーツ……がっつりスタミナ系の脳内献立……
入浴中にもリラックス出来るように選んだ入浴剤やヒーリングミュージック………
「沙夜子の身支度が済んだら出発しよう。」
彼は帰宅するなりそう告げて、急かすようにパンッと両手を鳴らした
「えっ…………えっ、BBQ………?」
数日前から計画を立てていた『イルミさんお疲れ様大作戦』……………
「うん、以前2人でした以来だしBBQしたいなと思ったんだけど。」
表情は涼し気で淡白、まるで生きているのが不思議な無表情…………しかし私にはわかるキラキラと輝く黒目がちな瞳を覗かせた彼はクリっと首を傾げた
しかし私の反応が想像と違っていたのだろう
スッと細められた眼差しが私の思考を読み解こうと注がれる
彼は出会ったその時から幾度とそうして私の気持ちを観察してきた
安易に言葉を出さないのは慎重な彼だからこそであり、今までに培った洞察力で私のリアクションの答えを探しているのだろう
広いペントハウスの拠点にてただ見詰め合って棒立つ私達の間を娘が奇声を発しながら通り過ぎる
私は今回の提案が嫌な訳でもなく、寧ろ嬉しいお誘いだと思った
麗しの彼と子供達とBBQ……きっと楽しく素敵な思い出になるに違いない