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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第39章 持ち切れない愛とありがとう








正直ここ数日ピアノにだだハマりしている娘の演奏でノイローゼになりそうである



そこに更に親方の回し車の音と私の洗い物の音が合わされば、我が家は一心同体の騒音ファミリーだ………なんて思っていると

動いたのは彼だった



自然な所作で娘に話しかけ気を反らし、娘の見ていない隙に然りげ無くピアノのスイッチをオフ……更にそれを仕舞い込むと、こちらも娘が愛して止まないぬいぐるみをセットしたのである


先程までピアノに夢中だった娘は早くもぬいぐるみを抱き締めてご機嫌………


凄い………………やっぱり彼は凄い…………!!!


一連の動作があまりにも流れるように鮮やかで、全く正反対の場面で彼の技の真髄を垣間見た気がして


やはり彼は何でも卒なくこなしてしまうのだな………なんて大興奮していたのだが………

耳に入った彼の真剣な声色に


「同じような音を大音量で繰り返し聞かせる手法は確かに両世界の刑務所で用いられる標準的な尋問技術だ……やるね。」


「いや、違うやろ」


私は噛み殺した笑いに肩を震わせながらツッコミを入れたのだった





__________"






19時47分



夕飯を済ませて、狭いリビングにはバラエティ番組の音が流れている


いつもと変わらぬ賑やかで幸せな午後を過ごし、いつもと同じ静かな夜がやって来た






部屋の片隅、ケージを開くと親方はお気に入りの回し車の中で身を包めて眠っていた

可愛い姿に頬を緩めながらもご飯を専用の小さなカップに入れて親方に差し出す

親方は飼い主に似てしまったのか食いしん坊で、眠っていてもご飯の匂いを嗅いだら寝惚け眼でムクリと起きてモグモグタイムに入るのだ


それがまぁ何とも可愛くて






…………だけど今日の親方は一向に起きる気配が無かった




「…………おーい親方、ご飯やで!」



なんて言いながらカップを鼻先で振る



いつもなら飛び起きて………いつもなら…………




「…………親方…………?」




思考するより先に動いた指先


自身の指先が可愛らしく眠る親方の体に触れた時、私は押し潰した悲鳴を上げていた





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