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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第38章 夏のある日の話









「……え………イルミさんでしょこれ……」



「沙夜子に対して俺がいつこんな事を言ったり、こんな行動をとったって言うの?」




普段に輪をかけて白々しい彼は言葉も数段単調であった


まるで私の見解がおかしいみたいにクリッと小首を傾げてみせる仕草は飛び上がりそうにキュートだがこの感じ……


………………自覚はある………


だが何らかの理由で認めたくない、もしくは内情を知られたくないのかもしれない

それかヤンデレ属性の全てに当て嵌まらないから違うと本気で否定しているのか………

何しろ嫉妬に狂った翌日ですら嫉妬をした事は無いと言い張る彼である



………流石だ……………



あの猟奇性を見せておきながら一切認めないスタンスは何というか……いっそ清々しいまである

本人が認めずともその事実は変わらないというのに………


すっかり驚いてしまってきっと間抜けな顔をしていたに違いないけれど、何だか彼が途端に可愛く見えて私は笑ってしまった



「ふふふ……そうですね、ヤンデレはイルミさんとは一番遠い言葉でしたね!」



なんて言い残して洗い物を両手にキッチンに立てば「何がおかしいの」と少し拗ねた声が背中に届いて、また笑ってしまった




ジリジリと暑い夏の夜はこうして穏やかに深まってゆく


カチャカチャと賑やかな洗い物の音、親方がまたカラカラと回し車を回して、彼は爪切りをパチンと鳴らした







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