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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第38章 夏のある日の話








7月21日



13時47分



私達は今古びたアパートにて家族団欒の時を過ごしている


小さなちゃぶ台、色褪せた壁紙に座椅子、懐かしくも小ぢんまりとした部屋は母のこまめな手入れによって古いながら綺麗に整えられていて本当に感謝だ


狭いベランダに夏の日差し、賑やかな蝉の声を聞きながら洗濯物を干せば、長く慣れ親しんだ風の香りに髪が靡いて帰ってきたのだと実感する


戻ったのは1日前である


じんわり額に浮かんだ汗を拭いながら部屋へ戻れば座椅子に腰掛けてマグカップに口を付けた彼と目が合った

優雅に喉を潤した後に小さく小首を傾げた彼のキュートさに内心雄叫びながらも



「そろそろ行く?」


「ですね!」



私は笑顔で頷いた



「おかしゃん!!!」



何て元気な娘の声に答えながら簡単に娘の身支度を整える



娘はもうすぐ1歳になろうとしていて益々私似に成長しているが、やはりそこは彼の娘…………

つい先日掴まり立ちしたその時から何かが覚醒したようにすんなり歩き出した時は感動より先に恐ろしく動揺した

まるで『そうそう私こうやって歩くんだった』と喋り出すんじゃないかと思うくらい危な気なくスタスタ歩いたのだ



「ちょちょちょ、めっちゃ歩いてるんですけど!!!!!えっ!?!?」



育児雑誌の情報から歩き出すのはまだ先だと思っていた私にとっては衝撃的だったが



「そうだね。」



彼は特段感動するでも驚くでもなく至って普通だった


……………まぁ………特に赤ちゃんの時期は成長に差が出るし娘は娘に変わりないのでこれからも成長を見守ろうと思う



娘の癖のある髪をポニーテールにして可愛い飴の飾りゴムを付けると鏡を見て嬉しそうにニコニコと笑った

まだまだ生え揃わない前歯が………………んんん………可愛い…………






カンカンと音の鳴る階段


外に出れば本照りの太陽にアスファルトが熱されて蒸し蒸しと暑かった







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