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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第37章 彼がドレスを脱ぐ時は






きっといつもなら騒がしいと注意されたり軽くあしらわれるであろう光景を不思議そうに見ている彼はやはり普段とは違っていた





やった………………ッ!!!!



私は遂にやったのだ………………ッ!!!!







私は彼からの「好き」を胸に勇み立ち上がった





こうしちゃおれんッ!!!!!!




私が彼に催眠術をかけた目的を果たさねば…………ッ!!!!!




私はカモシカの如く軽やかな足取りでクローゼットへ向かい、隠していた紙袋を引っ掴んで彼の元へ戻った


ドキドキと高鳴る胸は今から見られる光景への期待に弾み、私は嬉々と唇を開く




「イルミさん、これを着てくださいっ!!!!」




紙袋から取り出して彼へ差し出したのは2ヶ月前に露店マルシェで一目惚れしたドレス




ランさんに気晴らしにと誘われて娘と共に行ったのはパトギアの小さな町の露店マルシェ

月に1度石造りのレトロな町で開かれる露店マルシェの賑わいはお祭りに近いもので、近隣の街からの商人も参加しているのだと聞いた


中世ヨーロッパを思わせるガス燈の可愛い町並みにはそこかしこに石造りアーチ状の橋がかかり、それこそ行った事はないけれどイタリアの町並みなんかはこんなものなのかななんて思った

基本的に道幅の狭い町を中央まで抜けると視界いっぱいに広がる噴水広場がマルシェの会場で、異国的な雰囲気に私は随分とはしゃいだ

そしてその時に一目惚れしたのだ


大きな街からやって来た衣類の商人が開いた露店で一際目立っていたのは見た目から上質そうなダークネイビーのドレスだった


変にテラテラと光沢がある訳では無いけれど艶のある生地は黒に近いダークネイビー、鎖骨や首元を隠す黒いレースの刺繍は首筋や腕の露出を上品に隠していた




「うわぁ…綺麗……」


「お目が高い!」



吸い込まれるようにドレスに近付いた私に店主はにこやかに詳細を伝える


スカートの丈は長く伸び右脚は腰部分にかけて大胆なスリットが入っているけれど、そこにもまた美しい刺繍が施されたレースが露出を抑えるようにあしらわれていた


店主の商人曰くとても上等なシルクで作られたこのドレスはレースの控え目なラメにダイヤモンドをあしらった高級なアンティーク品らしいのだが、管理が良く未だ現役で着用出来るとの事だった



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