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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第37章 彼がドレスを脱ぐ時は







5円玉は軌道に乗って一定間隔で揺れている


親方も娘もこれくらいのタイミングで眠った筈だ……………


5円玉を追う彼の瞳をじっと見詰める




「…………イルミさんは私の言いなりにな〜る……イルミさんは私の言いなりにな〜る」



冷め切っていた視線が段々と穏やかになっている……………

今私が持ち得るパワーの全てを込めるように一層意識を集中させた



「…………イルミさんは私の言いなりにな〜る……イルミさんは私の言いなりにな〜る!」



トロンと落ちた瞳が次第に瞼に隠れ…………途端にカクンと首を傾けた彼の姿に私は静かで熱いガッツポーズを掲げた



しかしまだ成功したのだと決まった訳では無い…………


彼が退屈の余り眠ってしまった可能性だって拭えないのである………



ゴクリと唾を飲み込んで確かめるように声をかける



「………目を開けてください、イルミさん」



私の呼びかけに顔を上げた彼は、普段とは僅かに違う無垢な表情に見えた



……………これは本当にもしかしてもしかするのでは………………っ




成功を予感する興奮に浮足立ちながらも混ざる緊張は、普段なら恥ずかしくて言えない言葉を放つからだった
 



「イルミさん………好きって言って?」




私の顔は今蒸発しそうに熱い…………しかし!!この台詞こそが彼が催眠術にかかったか、かかっていないのか、見極めるのに相応しいと思ったのだ


普段の彼は『好き』なんて滅多に言ってくれない………


勿論、言葉以外の部分から深い愛情を感じるし大変満足この上なく多幸感抜群なのだが!!


滅多にくれない言葉だからこそ………催眠術にかかっているかの有無に左右される結果になるだろうと思ったのだ


ここでもし……彼が呆れた溜息を付いたり、意地悪に笑ったなら催眠術は失敗………




だが素直にその言葉を口にしたなら…………




大好きな彼が私を真っ直ぐに見詰める数秒


睫毛が長いなぁ……なんて何度も思った事に惚れ惚れしながらも私は彼の言葉を待つ










「好き」






彼が漏らした声は鼓膜を揺らし瞬殺で私の心臓を射抜いた







「きゃ~〜〜〜〜っ!!!!!!!」







正座のまま後ろにグニャンと倒れ込み両手で顔を覆いながら歓声を上げる






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