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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第36章 あたたかな昼下り








彼は愛娘を前にしてもやはり無感動な表情は変わらず何を考えているのか分からない、しかしその希薄な表情すらも魅力であり生きているのが不思議なくらいの美貌にはいつの時でも息を呑むのだ


小さな口で懸命にムグムグした後にまたコロコロと遠くへ転がったボール


彼は長い睫毛を伏せてその行方を辿った後に再びボールを手に取り娘の方へ転がした


彼が手に取ってしまえば小さな小さなボールを娘は再びキラキラとした瞳で追いかける


私はその微笑ましい様子を静かに眺めていた


ぬくぬくの炬燵で暖を取り、想い焦がれて止まない彼と共に愛らしい我が子を囲む………なんと平和であたたかな昼下りだろう………




「……うふふひひッ」



思わずだらしなく漏れた笑い声は自身の感情とは程遠く不気味だった



途端にジッと向けられる猫目がちな双眼




「いや、すみません何か微笑ましいなと思って……」


「………。」


「……て言うか、私未だにイルミさんがお父さんなんやってびっくりするんですよね」


「どうして?」



指先まで上品な所作で持ち上げたカップを傾けたてコーヒーを飲む彼の肩から艷やかな長髪がサラサラと落ちる


彼の疑問の答えは簡単だ



「だってイルミさんって生活感無いじゃないですか」


「………?」



訳が分からないとばかりに片眉を釣り上げる仕草すらセクシーな彼に心臓を射抜かれつつも私は続けた



「……っほら、カッコ良すぎる!!!!ほんまに私と結婚したんですか!?愛菜ちゃんのお父さんなんですか!?」


一息で言い切った私はガバリと娘のお尻に飛び付く





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