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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第36章 あたたかな昼下り







12月のある日


13時17分



私達は相変わらず拠点を転々としながら過ごしている


彼はやはり多忙で帰らない日も多いが、予定を割いて少ない時間の中でも私達と出来る限り過ごそうとしてくれている事は彼が口にせずとも感じるものだ


そして今私達がいるのはジャポンの田舎、所謂リノベーションされた古民家を借りて生活をしていた

勿論彼の仕事の都合上滞在するのは短期間だが、日本人なら誰しもが思い浮かべる里山の風情は私を寂しくさせた

別に異世界を跨いで戻った所でこんな故郷は私にはないのだけど、中々どうにも心に染みる場所だ

畳の香りに木枠窓の擦りガラス、長い廊下は経年変化で味のある木材、襖に高い天井

雨戸を開けると昨夜降っていた雪が一面を銀世界に塗り変えていた



以前の私ならきっとホームシックに泣いていた………


だけど今の私には常に一心同体と化した小さな娘がいるのだ



娘は4ヶ月になって首がすわり様々な事に興味を示すようになった

感情表現も豊かになり一層その天使さに磨きがかかっている



10畳はありそうな居間にある立派な炬燵机の上に運んだマグカップ

食後のコーヒーと紅茶が揃いの湯気を上げている



「ありがとう。」


「いえ!」



机に置かれたマグカップに一瞬視線を流した彼はその眼差しをすぐに床に落とした


彼と私の間にはフカフカの毛布が敷かれていて、娘はその上でうつ伏せのままボールに夢中になっている

フンフンと鼻息の荒い様子から随分ご執心だ

相変わらずクリクリと癖のある髪から何から増々私に似てきたけれど、好奇心にキラキラ輝く大きな瞳は彼の面影を見せる

そんな娘が熱中しているボールをコロコロ転がしているのは麗しの彼である






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