第35章 ソニの村の人々

主食は芋系の何かと穀物を混ぜて作った甘酸っぱいナンみたいな物だと紹介があった

おかずには川魚の丸焼きと正体不明の獣肉と…………何かの幼虫…………


ニコニコ笑顔の素敵なご夫妻には男の子3人女の子2人計5人の子供がいる



「アナタ可愛い言わレテルヨ〜またオン人怒ッチャウナ〜」


無邪気にはしゃぎながらもモジモジ照れくさそうに伝えてくれたのは末っ子のムハダ君

皆一様にヒーローを見るようにキラキラした視線を私達に注ぐ

私はそれに恥じぬように目一杯笑った



「あはは、ありがとうー！」




………………何かの幼虫……………




「食べてドウゾダヨ〜！」



「わぁーありがとうございます、いただきます！」





…………………幼虫………………ッ




待ちに待ったご馳走を前にキャッキャとはしゃぐ子供達、私は見様見真似でニニータさんご家族に習いナン的な物を千切り取り静止した


チラリと彼の様子を伺うと彼も此方を見ていて2人して静止する



主食はさておき、正体不明の獣肉も道中散々食べてきたので平気だろう

川魚だってニックが一度振る舞ってくれたし、少し抵抗はあるものの食べられる


しかし幼虫…………貴様だけは駄目だッ！！！！！


親指サイズの白いボディーにグロテスクな赤の縞模様………おおよそ食べ物のビジュアルじゃないッ！！！




っ………………なんてニック含めニニータさんご家族を前に言える筈が無い……………ッ



と言うかそもそも彼は平気なのかという観点から私は静止していた



彼は以前お邪魔したくじら島の民泊体験の際も露骨に嫌がり手料理から逃げていた

更にベッドも匂いが気になるからと使用せずにいたのだ

そんな潔癖な彼がジャングル奥地で知り合って間もないご家族の家に宿泊……なんて芸当出来るのだろうか………


もしかしたらニニータさんご家族の人懐こいニコニコ笑顔を曇らせる断固拒否を見せるのではと嫌に心拍数が早まった