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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第35章 ソニの村の人々








彼は仕事の詳細を話す事はおろか、相変わらず私に仕事の痕跡を見せないようにしている

なので今回の仕事が一体どういった内容でどのように執行されるか等微塵も知らない私からしてみると絶対安心安全最強セキュリティが解除される時間が訪れるという事なのだ………



…………絶望…………………


そもそも私1人なら果敢にアマゾン川みたいな川へカヌーで漕ぎ出しジャングルの奥地を観光なんて絶っっっっ対にしない!!!!




最早目眩なのか膝のバイブレーションなのかわからない視界の揺らぎに具合が悪い

ニックのガイドに耳を傾ける事もままならず空を仰ぎ見たその時、私に陰を作るように見下ろす大きな瞳と目があった


途端にひょいと掬われた身体は地面から遠ざかり、頼もしい腕の中で彼を見詰める



「ガイドは中断だ。沙夜子の顔色が悪い、何か飲み物用意して。」



彼の言葉に遠ざかるニックの背中をぼんやり見送っていると、彼は私を腕に抱いたまま大木の木陰に腰を下ろした



「震えてる、気温も高いし熱中症かもしれないね。」


恐怖から冷や汗に濡れた額に大きな手が触れてその冷たさに心臓がギュッとする

汗のひとつも流さずにサラサラと風に揺れる黒髪、私にだけ分かる僅かな違いで心配気に揺れる瞳




確かに体調も悪い………


仕事は仕事、致し方無い事で我儘なんて言いたくない

怖いから1人にしないで……なんて我儘としか言いようが無いだろう



それでも心細さに震えていた私にとって唯一頼れる彼の優しは途端に安堵するもので、彼の首元に腕を回してぎゅっと抱き着いた



「…………あの、イルミさん」


「ん?」



落ち着いた声色、安心感と恋心を擽る香りが心地良い


それと同時に抱いた不安がスルスルと唇から漏れ出していく



「私この村でひとりになるの怖くて……ごめんなさい、イルミさんお仕事やし仕方ないって分かってるんですけど……色々考えてたら不安になって………」



彼にだけ届くように小声で漏らした本音


彼は私の声を聞き届けた後に「あー……そういう事。」とあっけらかんと言った


首筋に絡めていた腕をといてオズオズと顔色を伺うと、長い睫毛を僅かに伏せて小さく笑った彼





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