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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第34章 スコールの夜







いつの間にか長い脚に挟まれるように身体を挟み込まれて寝床へ縫い付けられる


私が声を絞り出すより先に彼の薄い唇が開いた


「今テントを開くと……どうなると思う?沙夜子はわからないだろうけど、テント内に風が吹き込んで一瞬で水浸しになってテントは使い物にならなくなるんだよ。」


騒がしい雨音とは対照的に静かな低音


「それにアイツは現地の人間だ、スコールが当たり前のこの場所で生活しているんだからずっと強かだよ。沙夜子が気にする事は何もない。」



耳に注がれる声は何処か洗脳的で有無を言わせず言い聞かせ、一見穏やかさを滲ませる瞳には妖しさが見え隠れしている



「………ほ、ほんまに大丈夫なんですか?」



ギリギリで保たれた正気で吐き出した声はか細く、彼は小さく息を吐いた後一層身を寄せて厚い胸板が私の心臓を圧迫する


「俺にはわかるんだよ、気配でアイツが眠ってるって。」


言いながら至近距離に迫った彼は私の首筋に吐息を漏らす

忙しなく高鳴る心音は耳にも響く大きさで、脈を測るみたいに手首を撫でる彼の指先の仕草が恥ずかしくてピクリと肩が揺れてしまった


首筋に当てられた歯先の感覚に咄嗟に強張る身体、途端に感じた鈍い痛みを何故か私は甘い痺れと錯覚した


混乱しつつも場面に似つかわない声を漏らさぬように固く唇を噛み締めていると、彼の熱い舌が痛みの痕をしっとり舐め上げて耳元に掠れた囁きを落とした





「……このまま大人しく眠ってくれるね?」




「………っ……はぃ」







途端に開放された身体は熱く息を上げている


………だけど彼は普段の装いをそのままに隣で横になっていた



「…………っ」


「さ、おやすみ。」



とは言いつつも爛々と開いた双眼がまるで観察する様に私へと視線を注いでいて、私は羞恥のあまり爆散しそうになった





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