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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第33章 ニックは見ている




___________"





21時14分




彼等のビジネストークは真剣なもので私は邪魔にならぬように無言のまま羞恥を逃し、あっという間に就寝時間がやってきた


私達は昨夜同様にテントを張って眠る身支度を整えたのだが、昨夜と違うのは旅の仲間が1人増えた事……




風を通す為に開いていた出入口部分の網戸越しにニックがこちらを覗いている……




テントの広さは大人が4人眠っても広々していそうに広い、しかし彼は頑なにニックの存在をスルーして中に招き入れようとはしなかった

涼しい表情ながらそこはかと圧を放つ彼に気後れして何も言えないままに就寝の準備を終えてしまった



………完璧に整った2人分の寝床をニックが見ている


ランタンの灯りを消したテント内は暗く、テント外で月明かりに照らされているニックの姿は逆に浮き上がって見えるのだ



………………き、気まずい…………っ!!!



私個人的にはニックをテントに入れてあげたいと思う


ここは危険なジャングルだ万一にも明日の朝ニックが何者かの餌食になっていたら………ノコギリワニの姿を知っているからこそ強くそう思う


もし今テント外にいるのが私だったなら土下座しながら中に入れてと懇願するだろうし、危険が無かったとしても仲間外れみたいで悲しい気持ちになるだろう……


それに同じ空間に最強ダーリンがいるのだし私と同じ一般人のニックは私達にとって何の脅威にもならない筈だ

寝床は自分達の分しか無くて申し訳ないけれど、それでも同じ空間に人がいる安心感は大きなものじゃないだろうか……

 



「あの、イルミさん」





ニックが見ている……月明かりに照らされてキラキラ輝く瞳で私を見ている…………


何も考えないままに発した声に刺さる黒々とした眼差し…………私は今意図せず謎の脚光を浴びている


とにかくニックをテントの中へ………しかし私が先程まで考えていた事をそのまま彼に伝えたとしてヤキモチ焼きな彼の態度が軟化するとは思えない………っ


何を話すべきなのか言葉も纏まらないままに沈黙を埋めるように絞り出した言葉は『入りたいと言うなら今だ!』的な意図を含んだ丸投げだった





「あの…………ニックが………見てます」



「だったら何なの。」





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