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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第33章 ニックは見ている







ニックからは何の下心も感じず、『かわいいヒト』なんて言われても言葉通りの意味合いではなく観光客に向けるそれの雰囲気を多分に含んでいた





「ありがとう〜!……ウワおいしいな!」






……………しかし………彼の雰囲気が多少ながらピリついている…………



きっと彼もニックの意図を理解している筈だ、何せ彼は無表情ながら人の機微を感じ取る事は得意なのだから………


大はしゃぎのニックとは対照的に静まり返った私達


ムッと閉じられた唇に眉間のシワ、黒々とした瞳は夜の底より闇深い

そして何より彼の纏う雰囲気は普段の余裕に混ざって苛立ちを漂わせる

その様子をチラリと伺いつつ何か小粋な小話でもと開いた口は、先に言を発した彼の声に無意味になった





「お前、調子に乗るなよ。」



ニックを見据える彼は不機嫌さを隠す素振りもなく鋭い視線を向ける




「…………ナニナニ?」





きょとんと首を傾げるニックを視界に捉えた次の瞬間、いつの間にか私の目の前に彼の執着を滲ませる双眼が覗いていた



「………えっ………ぅんんっ………?!」



柔らかく重なった唇、驚いて緩く開いた拍子に容易く侵入した舌先は勝手知ったる様子で口内を犯す


あまりにも唐突な出来事に彼の胸を叩けば、すぐに手首を捕まえられてしまって

彼が僅かに漏らした吐息を皮切りに溢れる色香が全身を襲った




時間にすれば数秒単位の深い口付けは、チュッというリップ音と共にすんなり離れ


驚愕のあまり見開いたままの目には先程までの不機嫌さも、ましてや唐突なキスすら何も無かったみたいに平然とした彼の姿が映った



そんな彼は既に私を見ておらず「ワァ〜」なんてリアクションしているニックを冷淡に見据えていた



「俺と沙夜子の関係が理解出来たなら軽口を叩くな。もしこの先余計な真似をしたら川に沈めるからな。」


「シナイシナイよ〜ニックいい人デス、オン人困らせナイよ〜!」


「………ここからはビジネスの話だ。」


「ビジネスなになに!」






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