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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第33章 ニックは見ている






同日19時22分




私達は昨日より荒れた川をカヌーで上り、テントを張る為に浜辺へ上陸した


私達のオレンジ色のカヌーの後ろには、簡素な木製のイカダが一艘寄り添う




今朝ノコギリワニの肉を追加で焼いている間、私達……主に彼はニックの舟作りを手伝った


と言うのも、たまたま下流まで流れてきたニックは彼が民族との通訳を探す為に訪れる予定だった集落に住んでおり

会話から集落の中でも私達の言葉を堪能に話せる方だと判明したのだ

ニックは時折やって来る観光客を案内したり各村を巡って特産品を売買する等の仕事を生業としているらしい

とは言っても、観光客は数年に一組くらいのもので珍しい存在であるそうだ


そんなニックを当初の見立てより通訳として有益な存在であると判断した彼は、そのまま同行させる方針に切り替えると話してくれた


そうと決まれば切り替えの早い彼は、おおらかなニックを威圧的に急かしながらイカダを完成させた

対するニックはどこ吹く風で終始、恩人恩人とニコニコしていて案外彼との相性も悪くなく私としては一安心である


時間が押しているという事で休憩もなくパドルを漕ぎ続け、ようやく到着した浜辺には昨日同様に密林が闇をたたえていた



そんな辺りを照らすのは焚き火の灯り、冷めても美味しいワニ肉を頬張りながら3人で炎を囲んでいる


出来立てホカホカのキノコの具沢山クリームスープが湯気を上げて、ふぅふぅ息を吹き掛けていると

対面に座っていたニックの垂れ目がキラキラと輝いた



「ナニそれ〜!おいしそうダな~」


「クリームスープ……牛乳のスープ!ニックさん知らないですか?」


「しらない、村では馬乳つかうけどスープない」



好奇心に輝く瞳に何だか私までワクワクして、嬉々と空の器を持つ



「ちょっと飲んでみます?」


「エッいいの?!ありがとう〜かわいいヒト〜!」


パァっと明るい笑顔に私まで笑顔になった





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